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デザインやアプリ開発を外注する会社が、取適法で見直したい発注の書き方

2026年1月1日に下請法は取適法に変わり、従業員数の基準が加わって対象の会社が広がりました。公正取引委員会の令和7年度の運用状況では、発注内容の明示義務の違反が6,242件と最も多い類型でした。デザインやソフトウェアの外注で起きやすいところを、発注する側の目線で整理します。

デザインやアプリ開発を外注するとき、発注書を出さずにチャットで「この方向でお願いします」と始まる案件は、今でも珍しくありません。

受ける側として言うと、それ自体で困ることはあまりありません。困るのは、あとで範囲が広がったとき、修正が何度も続いたとき、そして検収がいつ終わるのか誰にもわからないときです。

2026年1月1日から、こうした進め方の多くは、法律の上でもはっきり問題になる可能性が高くなりました。発注する側が知っておくと、揉めずに済むことを順に書きます。私は弁護士ではないので、自社が対象になるかどうかは、公正取引委員会の資料と専門家に確認してください。

下請法は取適法になりました

公正取引委員会の特設ページによると、2026年1月1日に下請法は「中小受託取引適正化法」(取適法)に改められました。「親事業者」は「委託事業者」に、「下請事業者」は「中小受託事業者」に呼び方が変わっています。

デザインとソフトウェアは、もともと対象です。公正取引委員会の説明資料では、情報成果物作成委託の例として「ソフトウェア、映像コンテンツ、各種デザインなど」が挙げられています。

大きく変わったのは、対象になる会社の範囲です。これまでは資本金だけで判断していましたが、従業員数の基準が加わりました。プログラムの作成を委託する場合は、常時使用する従業員が300人を超える会社が、300人以下の会社や個人に出すと対象になります。プログラム以外のデザインなどは、100人を超える会社が、100人以下の会社や個人に出す場合です。資本金が小さいから関係ない、とは言えなくなりました。

一番多い違反は、発注書の中身

公正取引委員会が2026年6月10日に公表した令和7年度の運用状況を見ると、勧告は39件で、前の年度の21件から増えています。指導は8,261件でした。

違反の類型別では、発注内容などを明示する義務の違反が6,242件で、最も多くなっています。禁止行為の違反7,228件のうち、半分を超える3,787件が支払遅延でした。ソフトウェアやデザインを含む「役務委託等」に限ると、禁止行為の違反の60.9%が支払遅延です。

つまり、よくある違反は、特別な悪意から生まれているわけではありません。発注書に書くべきことが書かれていない。支払いが遅れる。どちらも、デザインや開発の外注でよく見る光景です。

デザインと開発の外注で起きやすいこと

1. 発注内容が決まっていない。 「いい感じのLPを」「アプリの改善を」で始まる案件は多いと思います。取適法では、給付の内容、代金、支払期日などを書面かメールなどで明示する必要があります。決まっていないことがある場合は、決まらない理由と、決める予定の日を書くことになっています。最初に全部決める必要はありません。決まっていないことを、決まっていないと書くことが求められています。

2. 検収が終わらない。 支払期日は、受け取った日から60日以内のできる限り短い期間で定める必要があります。説明資料では、検査に合格してからの期間ではなく、受け取ってから支払うまでの期間が60日を超えてはいけないと明記されています。社内の確認が遅れて検収が延びても、支払いの期限は延びません。

3. 修正が終わらない。 相手に責任がないのに、受け取ったあとでやり直しをさせ、その費用を負担しないことは禁止されています。令和7年度の「不当な給付内容の変更・やり直し」は332件でした。デザインの修正回数を最初に決めておくのは、受ける側を守るためだけでなく、発注する側を守るためでもあります。

4. 範囲が広がったのに、代金の相談に応じない。 今回の改正で、相手から価格の協議を求められたのに応じず、一方的に代金を決めることが新たに禁止されました。公正取引委員会のリーフレットでは、協議の求めを無視したり、先延ばしを繰り返したりすることも違反になるとしています。

5. 振込手数料を差し引く。 相手との合意があっても、振込手数料を代金から差し引くことは違反になります。手形での支払いも禁止になりました。

個人に頼むなら、フリーランス法も

外注先が従業員のいない個人の場合は、2024年11月1日に施行されたフリーランス法も関係します。公正取引委員会のQ&Aでは、発注する側に従業員がいない場合でも、取引条件を明示する必要があるとしています。発注する側が従業員を使っている会社なら、報酬は受け取った日から60日以内に支払う必要があります。

社内に「個人のデザイナーに頼むときは、発注書はいらない」という慣習があるなら、見直す時期です。

発注書のひな形に足しておくこと

取適法とフリーランス法の両方をふまえて、デザインや開発の発注書に、次の項目を足しておくことをおすすめします。

  • 何を納品するか(画面の数、ファイルの形式、ソースコードを含むか)
  • 修正は何回まで含むか、それを超えたらどう扱うか
  • いつ受け取ったことにするか、検収の期間を何日とするか
  • 支払期日(受け取った日から60日以内)
  • まだ決まっていないことと、それを決める予定日
  • 範囲が変わったときに、代金を誰とどう話し合うか

この六つが書いてあれば、受ける側も安心して見積もれます。結果として、見積もりの幅も小さくなります。

最初の打ち合わせで

外注の進め方を見直している場合、最初の打ち合わせでは三つを教えてください。今使っている発注書かメールのひな形。社内で検収に通常何日かかっているか。そして、過去の案件で修正や範囲の追加がどのくらい起きたかです。

それがわかれば、どこで揉めやすいかを、次の案件が始まる前に一緒に直せます。

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