定期購入やサブスクの申込み画面で、特定商取引法の最終確認画面に必要なこと
国民生活センターによると、通信販売の定期購入に関する相談は2025年度に93,065件で、2年続けて増えています。2022年6月に施行された改正特定商取引法で、申込みボタンのある最終確認画面には表示の義務ができました。消費者庁のガイドラインをもとに、申込みの手前の1画面で外せないことを整理します。
サブスクや定期購入の申込み画面を作るとき、一番議論になるのは、申込みボタンのすぐ手前の1画面です。
マーケティングの担当者は、初回の価格を大きく見せたい。法務の担当者は、条件を全部載せたい。デザイナーは、その間で文字の大きさを決めることになります。
この1画面には、法律で決まった役割があります。好みで決めていい部分と、そうでない部分を分けておくと、議論はかなり短くなります。私はデザイナーで、弁護士ではありません。個別の判断は、原文と専門家に確認してください。
相談は減っていない
国民生活センターの「通信販売での定期購入」のページによると、通信販売で購入した商品の定期購入に関する相談は、2023年度が80,315件、2024年度が89,401件、2025年度が93,065件でした(2026年5月31日現在)。
紹介されている事例には、初回980円のサプリを注文したら7回の回数縛りがある定期購入だった、「回数縛りなし」と書かれた広告から注文したのに2回目が届いた、というものが並んでいます。
消費者庁が2026年3月16日の検討会で示した資料でも、消費者が誤認に気づくのは2回目の商品が届くタイミングであることが多いと書かれています。消費者庁は、インターネット取引でのダークパターンについても議論を続けています。
最終確認画面とは何か
2022年6月1日に施行された改正特定商取引法で、通信販売の申込みの段階での表示について、第12条の6という規定ができました。消費者庁の通信販売の申込み段階における表示についてのガイドラインが、その解釈を示しています。
ガイドラインでは、申込みボタンを押すと契約の申込みが完了する画面を「最終確認画面」と呼びます。「注文内容の確認」という表題がなくても、条件に当てはまれば対象です。カード番号の入力だけが別の決済画面に分かれている場合は、その手前の申込み内容の確認画面が、最終確認画面にあたるとされています。
広告のページにすべての条件を書いていても、それだけでは足りません。最終確認画面で必要な表示をしているかどうかで判断されます。
最終確認画面に載せること
ガイドラインでは、第12条の6第1項で表示が必要な事項として、次の六つを順に解説しています。
- 分量(定期購入なら、引き渡しの回数も)
- 販売価格、サービスの対価
- 支払の時期と方法
- 引渡しや提供の時期
- 申込みの期間(期間限定の場合)
- 申込みの撤回や解除に関すること
定期購入では、各回の代金だけでなく、支払う代金の総額を明確に表示しなければならないとされています。初回と2回目以降の代金が違うなら、2回目以降の代金も初回と並べて明確に書く必要があります。ガイドラインには、5か月分の定期購入なのに1か月分の分量しか書いていなければ、分量を正しく表示していないことになる、という例があります。
解約に条件がある場合は、それも最終確認画面に書く必要があります。たとえば、次回の発送の何日前までに連絡が必要か、電話でしか受け付けないか。電話番号を書くなら、確実につながる番号である必要があります。
全部を1画面に書き切れない場合は、リンクで詳しいページに案内することも認められています。ただし、消費者が明確に気づけるリンクであることが前提です。
誤認させる表示として挙がっている例
ガイドラインには、避けるべき例も具体的に書かれています。デザインの判断に直結するものだけ挙げます。
ボタンの文言。 「注文内容の確認」という画面に「申込みを確定する」というボタンがあれば、一般に問題ないとされています。一方で、「送信する」「次へ」のようなボタンで、画面のほかの部分にも申込みであることがわからない場合は、誤認させるおそれがあるとされています。
文字の大きさと位置。 初回の価格を強調して、定期購入の条件を小さな文字で書いたり、離れた場所に置いたりする。条件を別の商品の広告のあとに置く。申込みボタンの下に置く。どれも、定期購入ではないと誤認させる場合には違反にあたるおそれがあるとされています。
「お試し」と「いつでも解約可能」。 「お試し」「トライアル」を強く打ち出しながら、実際には定期購入だったり、簡単に解約できなかったりする場合は、違反にあたるおそれが強いとされています。「いつでも解約可能」と書いて、実際には解約に条件がある場合も同じです。
ガイドラインによると、こうした表示で誤認して申し込んだ消費者は、その申込みを取り消すことができます。
サブスクのアプリやWebサービスでも
特定商取引法の通信販売には、商品だけでなく、サービスの提供も含まれます。個人向けに自社のWebでサブスクを申し込んでもらう場合は、同じ考え方で最終確認画面を作るのが安全です。事業者向けの取引は、原則として特定商取引法の対象外です。
ガイドラインは、サブスクにもはっきり触れています。無料や割引の期間のあとに、自動で有料や通常価格に切り替わる場合は、切り替わる時期と、そのときに支払う金額がわかるように、あらかじめ表示する必要があるとしています。
アプリの課金をWebに移す動きもあり、Webの申込み画面を自社で作る会社は増えています。課金が始まる日、金額、解約の方法と期限を、申込みボタンの手前に並べておく。それだけで、2回目の請求のあとに来る問い合わせはかなり減るはずです。
解約の側の設計については、解約導線の記事で書きました。申込みの画面と解約の画面は、同じ条件を同じ言葉で書くようにそろえておくのが基本です。
最初の打ち合わせで
申込み画面の見直しを検討している場合、最初の打ち合わせでは三つを教えてください。今の申込みの流れの画面の一式。定期購入や無料期間の条件。そして、解約や返金の問い合わせのうち、多いものの上位三つです。
この三つがあれば、どの表示を足し、どの強調をやめるべきかを、具体的な画面で示せます。