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社内にデザイナーがいない会社が、プロダクトを作るとき

採用は難しく、時間もかかります。デザイナーがいない状態でも進められる部分と、どうしても社内に必要な役割を分けて考えます。

「まずデザイナーを採用してから」と考えて、一年止まっている会社をいくつも見てきました。

日本でプロダクトデザイナーを採用するのは、現状かなり難しい仕事です。母数が少なく、良い人は動きません。そして採用できたとしても、一人目のデザイナーが機能するかどうかは、受け入れる側の準備で決まります。

先に結論を書きます。デザイナーがいなくても進められる部分はかなり多い。ただし、社内に絶対必要な役割が一つあります。それはデザイナーではありません。

社内に必要なのは「決める人」

外注できるのは、作る作業です。外注できないのは、決めることです。

何を作るか、何を作らないか、二つの案のどちらを選ぶか、いつ出すか。これらは事業の判断であって、デザインの判断ではありません。外部のデザイナーは材料を出せますが、決めることはできません。

社内に決める人がいない状態で外注すると、次のどちらかが起きます。決定が先延ばしになって進まないか、外部のデザイナーが勝手に決めて、後で「思っていたのと違う」となるかです。

だから、一人目に必要なのはデザイナーではなく、プロダクトの責任者です。デザイン経験は必須ではありません。必要なのは、事業を理解していて、決められて、その決定を説明できることです。

デザイナーなしで進められること

意外に多いので、具体的に挙げます。

何を作るかを決めること。顧客に話を聞く、業務を観察する、何が問題かを言葉にする。これはデザインのスキルではなく、事業のスキルです。むしろ現場に近い人のほうがうまくできます。

画面の構成を紙で考えること。見た目は後です。どの情報がどの順で必要か、何を先に見せるか。これは紙とペンでできます。きれいに描く必要はありません。

既存の部品を使うこと。ゼロからデザインする必要がある場面は、実際にはそれほど多くありません。使えるものを使い、判断が必要なところだけ考えるほうが、結果として速くて質も安定します。

文章を良くすること。ボタンの文言、エラーの文章、説明文。プロダクトの使いやすさのかなりの部分は文章で決まります。ここは日本語がわかる人なら誰でも改善できて、効果が大きい割に誰もやりません。

外部に頼むべきこと

逆に、外部を使う価値が高いのは次の三つです。

方向を決める最初の設計。全体の考え方、画面の構造、部品の作り方。ここを最初に整えておくと、後の追加が安く済みます。ここを飛ばすと、追加のたびに一から考えることになります。

判断が難しい画面。全画面ではなく、一番難しい二、三画面。ここだけ外に出して、それを見本に社内で残りを作るという進め方は、かなり効きます。

一度きりの専門的な作業。アクセシビリティ対応、多言語対応、ブランドの定義。頻度が低く専門性が高い作業は、社内に持たないほうが合理的です。

進め方の順序

現実的な順序を書きます。

まず、社内でプロダクトの責任者を決める。兼任でも構いませんが、名前を決めてください。

次に、一番大事な一つの業務、一つの画面を選ぶ。全体を考えると止まります。

そこだけ外部と一緒に作る。このとき、成果物を「その画面」ではなく「その画面と、次を作るための考え方」にしてください。ここが重要です。

そして、二つ目以降を社内で作ってみる。作れなければ、渡された考え方が足りていません。作れたら、その方法が機能しています。

採用を考えるタイミング

社内で二つ目、三つ目の画面を作ってみて、判断に困る場面が繰り返し出てくるようになったときです。

そのときには、何に困っているかが具体的に言えるようになっています。そして、それは採用の要件そのものです。困っていることを言語化できていない状態で「デザイナーが欲しい」と募集すると、来た人も何をすればいいかわかりません。

一人目のデザイナーが辞める理由の多くは、能力の不一致ではなく、期待が定義されていなかったことです。先に小さく作ってみることは、採用の準備としても一番効率が良い方法です。

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