エージェントマネージャーの練習法:Claudeで始める一週間
AIエージェントを部下のように管理する練習を一週間で。くり返し業務を三つ選び、指示書を書き、レビューと記録で品質を上げる手順を紹介します。
AIエージェントという言葉は毎日のように聞きますが、実際に仕事で使いこなしている人はまだ多くありません。外から見ると技術者の仕事に見えます。実際にやっていることは、部下に仕事を任せるときとほとんど同じです。何を任せるかを決め、指示書を書き、成果物を確認し、間違っていたら仕組みを直す。この記事では、その練習を一週間で始める方法をまとめます。
エージェントマネージャーとは何か
2026年2月、Harvard Business ReviewにTo Thrive in the AI Era, Companies Need Agent Managersという記事が掲載されました。AIエージェントがどう学び、どう協力し、どう安全に人と一緒に働くかを取りまとめる役割を「エージェントマネージャー」と呼び、ソフトウェアの時代にプロダクトマネージャーが生まれたのと同じ流れだと説明しています。
肩書きを外すと、中身はシンプルです。成果に責任を持つ人がいて、その工程の一部をエージェントが担当する。どの工程を任せるか、どんな基準で合格とするか、最後に誰が承認するかを決めるのがこの役割です。日本の会社でいえば、業務フローを設計して、承認ルートを引ける人です。プログラミングの知識よりも、自分の業務で「良い仕事」が何かを知っていることの方が効きます。
まず、毎週くり返している業務を三つ選ぶ
最初は、いちばん回数の多い仕事から始めます。難しい仕事は後回しで構いません。目安は次の三つです。
- 週に一回以上発生する
- 出来上がりの良し悪しを一分以内に判断できる
- 材料がすでにどこかにまとまっている(共有フォルダ、Excel、議事録など)
たとえば、週次報告のまとめ、会議の議事録からToDoと担当者を抜き出す作業、問い合わせメールの振り分け、稟議書や社内申請の下書き、資料のダブルチェックなどが向いています。
業務ごとに「指示書」を書く
Claude Codeでは、エージェントは一つのMarkdownファイルです。プロジェクト内の .claude/agents/ に置けばそのプロジェクト専用、~/.claude/agents/ に置けばどのプロジェクトでも使えます。ファイルの先頭には name と description を書きます。descriptionはClaudeが「この仕事はこのエージェントに回そう」と判断する材料になるので、いつ使うのかをはっきり書きます。詳しくは公式ドキュメントのサブエージェントのページにあります。
指示書の本文は日本語で問題ありません。Claudeは日本語の指示をそのまま理解しますし、敬語のレベルや「です・ます」で統一するといったルールもかなり正確に守ってくれます。
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name: gijiroku-todo
description: 会議の議事録から決定事項、ToDo、担当者、期限を抜き出す。議事録が貼られたとき、または議事録ファイルを指定されたときに使う。
tools: Read, Grep, Glob
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あなたは議事録を整理して、チームに共有できるToDo一覧を作ります。
手順:
1. 議事録を最後まで読んでから書き始める。
2. 決定事項を先に、ToDoを後に並べる。
3. 担当者と期限は、議事録に書かれている場合だけ記載する。
ルール:
担当者や期限を推測で埋めない。不明な場合は「未確定」と書く。
全体を400字以内にまとめる。
提出前に、すべての名前と日付を議事録と照合すること。
このファイルを自分で一から書く必要はありません。業務の内容をClaudeに説明して「この業務用のエージェントファイルを作って」と頼めば作ってくれます。大事なのは、出来上がったファイルを自分で読み、自分の基準と違うところを直すことです。そこがマネジメントの部分です。
ターミナルを使わない場合は、Claudeアプリのプロジェクト機能で同じ練習ができます。業務ごとにプロジェクトを一つ作り、指示書をプロジェクトの指示に貼り付けます。
自分で直さず、指示書を直す
いちばんよくある失敗は、出てきた成果物を黙って自分で書き直してしまうことです。その場は早く終わりますが、エージェントは何も学びません。成果物を読んだら、次の四つだけ確認します。
- 事実と数字は元資料と合っているか
- どの会社、どの週にも当てはまるような一般論になっていないか
- 分量、構成、言葉づかいは指定どおりか
- 自分の名前で上司や取引先に出せるか
指摘は必ず文字にして残します。その業務だけの話ならエージェントのファイルに、プロジェクト全体に関わる話(文体、表記ルール、触ってはいけないフォルダなど)なら CLAUDE.md に追記します。CLAUDE.md はClaude Codeが毎回セッションの最初に読み込むファイルです。
記録を一枚にまとめる
業務名、エージェント名、実行日、レビューで見つけた問題、追加したルール。この五列の表を一枚作っておきます。一週間続けると、品質がどう上がったかが目に見えるようになります。
日本の会社では、新しい取り組みを通すときに根拠が求められます。「AIを使っています」だけでは稟議は通りません。この記録があれば、どの業務を、どんなチェック体制で任せたのかを具体的に説明できます。
ガードレールを先に決める
動かす前に、二つだけ決めておきます。一つ目は、各エージェントに必要最低限のツールだけを渡すことです。調べるだけのエージェントには読み取り系のツールだけを許可します。二つ目は、社外に出るものは必ず人が承認することです。メールの送信、SNSへの投稿、顧客向け資料の提出は、エージェントに任せず自分で最後のボタンを押します。社内の情報セキュリティ規程も事前に確認しておくと安心です。
無料で学べる教材
- AI Fluency: Framework & Foundations:何をAIに任せ、結果をどう判断するかを学べる無料コース(英語)
- Introduction to subagents:サブエージェントの考え方を学ぶ短いコース(英語)
- Building effective agents:Anthropicによるエージェント設計の解説(英語)
英語の教材は、Claudeに「要点を日本語で説明して」と頼みながら読むと負担がかなり減ります。
今夜、くり返している業務を三つ書き出してみてください。明日一つ目の指示書を作り、最初の成果物を新しく入った部下の仕事だと思って確認する。それが一番早い練習です。