ChatGPT や Claude に自社を正しく説明させるために、サイト側でやること
検索エンジンではなく AI 経由で問い合わせが来るようになりました。AI が読む前提のサイトは、人が読む前提のサイトと要件が少し違います。優先度の高い順に、実際にやったことを書きます。
「ChatGPT に聞いたら御社の名前が出たので」という問い合わせが、実際に来ます。
同時に、AI に自社について尋ねたら事実と違う説明が返ってきた、という相談も来ます。所在地が違う、やっていないサービスが挙げられている、社名の表記が古い。
どちらも同じ原因です。AI がその会社について書かれた情報を、断片的に、出典を確認しない形で集めているからです。対処はサイト側でできます。順に書きます。
前提:これは SEO の延長ではありません
似ていますが、要件が違う部分があります。
検索エンジンは、ページを検索結果に並べます。人が選んでクリックします。つまり、そのページに人を連れてくるのが目的です。
AI は、ページを読んで、答えを合成します。ユーザーは元のページを見ないことがあります。つまり、そのページに書かれた内容が正確に引用されるかどうかが目的になります。
この違いから来る要件はいくつかありますが、最大のものはこれです。曖昧に書いてあると、曖昧に要約されるのではなく、間違って断定されます。
人間は曖昧な文を読んで「よく分からないな」と思います。言語モデルは、曖昧な文から最も確率の高い解釈を選んで、断定的な文を生成します。だから、書き方の曖昧さが誤情報に変換されます。
一番目:事実を一か所にまとめる
これが最も効きます。そして最も実施されていません。
会社の基本的な事実を、一つのページに、平文で、箇条書きで置いてください。
社名の正式表記。設立年。所在地。事業内容。提供しているサービスの名称と、それが何であるか。対応言語。連絡先。代表者名。
すでに会社概要ページがある場合も、確認してください。多くの会社概要ページは、表組みの中に短い語句が入っている形式です。「事業内容:デザイン」のような。これは人間には読めますが、文脈がないので、モデルが正しく展開できません。
一文で書いてください。「東京を拠点に、企業向けのプロダクトデザインと AI プロダクトの開発を行っています」と書いてあれば、そのまま引用されます。「デザイン」だけだと、モデルが残りを埋めます。
二番目:構造化データ
JSON-LD で Organization を記述してください。schema.org の Organization 型です。
これは、モデルにとって曖昧さのない情報源になります。社名、URL、ロゴ、所在地、連絡先、SNS のプロフィール。同じ情報が本文にもあり、構造化データにもあるという状態が理想です。
サービスや記事のページには、それぞれ適した型があります。記事なら Article か BlogPosting、サービスなら Service、よくある質問なら FAQPage。
実装は一度で終わります。テンプレートに入れれば、以後は自動です。私が関わったサイトでは、これを入れたあとに AI の説明の正確さが変わりました。厳密な因果は測れませんが、少なくとも間違いを修正する手段としては機能します。
三番目:クロールの許可を確認する
これは見落とされます。実際に、この理由で AI に一切引用されていないサイトを見ています。
robots.txt。 AI のクローラーは、検索エンジンのクローラーと別の名前で来ます。GPTBot、ClaudeBot、PerplexityBot、Google-Extended など。robots.txt でこれらを許可しているか確認してください。
CDN の設定。 ここが本当の落とし穴です。Cloudflare は、AI クローラーをデフォルトでブロックする設定を持っています。robots.txt で許可していても、CDN の手前で止まっていれば届きません。
つまり、許可しているつもりで、実際には一行も読まれていない状態が起こりえます。サーバーのログか、CDN の管理画面で、AI クローラーのアクセスがあるかを確認してください。
ここを直すのに、コンテンツの変更は必要ありません。設定だけです。効果が出るまでの時間も短いです。
四番目:一つの主題を一つのページに
これは書き方の話です。
複数の主題を一ページに詰めると、モデルはそのページを何についてのページか決めきれません。結果として、どの質問に対しても中途半端に引用されます。
一つのページを一つの主題にしてください。そして、そのページの最初の段落で、主題を明示してください。
私は自分のサイトでこれを徹底しています。記事の第一段落に、その記事の主張が入っています。装飾的な導入を先に置きません。人間の読者にとってもそのほうが良く、モデルにとっては決定的に良いです。
五番目:日本語と英語を両方置く
日本企業の相談でこれが最も多い抜けです。
日本語しかないサイトの場合、英語の質問に対して引用されません。海外からの問い合わせを想定しているなら、英語版が必要です。
そして重要なのは、機械翻訳を貼るだけでは不十分だということです。訳文が不自然だと、そのまま引用されて、不自然な英語で自社が紹介されます。
hreflang で言語の対応関係を明示してください。どちらが原文か、どちらが翻訳かをモデルが判断できる状態にします。
やらなくていいこと
AI 向けの隠しテキスト。 人間に見えないテキストをモデル向けに置くのは、検索エンジンに対するかくしテキストと同じ扱いになります。やめてください。
大量の記事の量産。 薄い記事を増やすと、サイト全体の評価が下がります。引用されるのは、具体的な事実が書かれたページです。数ではありません。
llms.txt に期待しすぎること。 置いておく価値はありますが、これを読むという保証はどこにもありません。上の五つのほうが確実です。
効果の確認方法
月に一度、主要な AI に自社について質問してください。
社名で聞く。事業内容で聞く。「東京で〇〇をやっている会社」のような、顧客がしそうな聞き方で聞く。
返ってきた説明の誤りを記録して、対応するページを直す。これが一番速いフィードバックです。数か月続けると、返答が変わっていきます。
これは新しい作業ですが、既存の広報の作業とほぼ同じ性質のものです。自社がどう説明されているかを確認して、間違いを直す。媒体が変わっただけです。
最初にやるべき一つ
三番目のクロールの許可です。
理由は、他の四つは効果が出るまでに時間がかかりますが、これは設定の問題なので、直せば次のクロールから変わります。そして、ここで止まっている場合、他の四つを全部やっても何も起きません。