コーディングエージェントが「承認待ち」で止まっている時間
Claude Code や Codex を複数同時に動かすと、遅くなるのはエージェントではなく人のほうです。実行許可や質問への返事を、見ていないターミナルの中で待たせてしまう。承認の設計で決めておく三つのことと、そのために作った小さな Mac アプリ Kenko について。
Claude Code や Codex を使い慣れてくると、一つずつではなく、複数のセッションを同時に動かすようになります。画面の修正を一つ、API の作業を一つ、テストの整理を一つ。それぞれ別のターミナルで進めます。
ここで、意外なところに待ち時間が生まれます。
エージェントは、コマンドを実行する前や、判断に迷ったときに、人に確認を求めます。安全のために必要な仕組みです。ただ、その確認は、いま見ていないターミナルのタブの中に表示されます。気づくまでの間、エージェントは何もせずに待っています。
作業が速くなったはずなのに、全体の進みが思ったほどではない。その原因が、モデルではなく、この「承認待ち」の時間であることは少なくありません。
一つ目:何を人が確認するかを決める
すべてのコマンドに人の確認を入れると、待ち時間は増えます。逆に、すべてを自動で許可すると、本番環境や顧客データに触れる操作まで通ってしまいます。
最初に決めるべきなのは、その線引きです。テストの実行やビルドのように、何度やっても問題のない操作は自動で許可する。削除、デプロイ、外部への送信のように、取り消しにくい操作は必ず人が見る。
Claude Code にも Codex にも、許可のルールを設定する仕組みがあります。線引きを決めてルールにしておけば、人に届く確認の数そのものが減ります。
二つ目:確認が届く場所を決める
線引きをしても、人の確認が必要な場面は残ります。大事なのは、それがどこに届くかです。
ターミナルのタブの中では、見に行かない限り気づけません。画面のどこにいても目に入る場所に届くこと。そして、その場で答えられること。ターミナルを探して切り替える手間がなくなるだけで、待ち時間はかなり短くなります。
三つ目:社内で承認できる道具を選ぶ
エージェントの周りに置く道具は、コードとプロンプトのすぐ隣で動きます。情報システム部門の確認を通しやすい条件は、はっきりしています。
コードを外に出さないこと。 セッションの内容、プロンプト、コードを、どこのサーバーにも送らない。
設定の変更が元に戻せること。 エージェントの設定ファイルを書き換える場合は、事前にバックアップを取り、外すときは追加した分だけを取り除く。
答えの扱いが明確なこと。 道具から返した答えが、ターミナルで入力したのと同じ扱いになること。責任の所在が変わらないことは、承認の場面で重要です。
私が作った道具
この問題を自分で解決するために作ったのが Kenko です。私のマンガのキャラクターが、MacBook のノッチに住んで、Claude Code と Codex のセッションを見ています。
エージェントが作業している間は静かにしています。降りてくるのは、実行許可を求められたとき、質問されたとき、ターミナルで入力を待っているとき、エラーが起きたとき、プランの上限が 80% と 95% に近づいたときだけです。
実行許可はノッチの中で Allow、Deny、Always から選べます。質問には選択肢か自由入力で答えられ、答えはターミナルで打ったのと同じ形でエージェントに戻ります。自分で対応したいときは、そのターミナルを前面に出すボタンがあります。
Claude Code と Codex の hooks という仕組みを使っていて、接続するときに設定ファイルのバックアップを取り、解除すると追加した分だけを取り除きます。アプリとのやりとりは Mac の中のローカルソケットで行われ、セッションもプロンプトもコードも Mac の外に出ることはありません。アプリにはアカウントも分析ツールもありません。
macOS 14 以降に対応していて、価格は 0.99 ドルの買い切りです。kenkoisland.com から入手できます。
速さは、待ち時間の設計で決まる
エージェントの導入で差がつくのは、モデルの性能より、人とエージェントの間の受け渡しをどう設計するかだと思っています。何を人が見るか。確認がどこに届くか。その道具を社内で承認できるか。この三つが揃うと、複数のエージェントを動かしても、人がボトルネックになりにくくなります。
チームでエージェントの運用を始めようとしている場合、最初の打ち合わせでは次の三つを教えてください。使っている、または検討しているエージェント。人の確認が必要だと考えている操作。そして、社内でツールを承認するときに一番時間がかかっている工程です。
全部わからなくても構いません。そこを整理するところから一緒に始められます。