代理店・制作会社のためのClaude活用術 五つの実務フロー
クライアントごとのプロジェクト、オリエン資料の整理、赤字の反映、チャネル展開、月次レポートまで、日本の代理店で使えるClaudeの使い方です
制作会社や広告代理店の仕事で時間を奪っているのは、アイデアを考える時間よりも、その周りの作業です。打ち合わせメモの整理、企画書の骨組み、クライアントからの赤字の反映、月次レポート。どれも大事ですが、毎回ゼロから手でやる必要はありません。この記事では、日本の代理店や制作チームがClaudeを実務に組み込むときの、五つの使い方をまとめます。
クライアントごとに「引き継ぎ資料」を持たせる
一番効果が大きいのは、プロンプトの工夫ではなく、同じ説明を二度しないことです。Claudeアプリのプロジェクトをクライアントごとに一つ作り、新しく担当になった人に渡す資料と同じものを入れておきます。
- ブランドガイドライン、トンマナ資料
- 過去に通った企画書や原稿を3本から5本
- 過去にNGになった表現とその理由
- 法務やクライアントの確認が済んでいる商品情報と表現
とくに「NGになった表現」のリストが効きます。日本のクライアントは、何をしてほしいかより、何をしてほしくないかのほうがはっきりしていることが多いからです。
資料を入れる前に、NDAや契約の内容と、お使いのClaudeプランのデータ設定を確認してください。「AIに入れた資料はどう扱われるのか」と聞かれたときに、すぐ答えられる状態にしておくと安心です。
打ち合わせメモから、確認事項と企画の骨組みを作る
オリエンの録音の書き起こし、メールのやり取り、先方の社内資料。形はばらばらでも、まとめてプロジェクトに入れれば整理はClaudeに任せられます。
以下は[案件名]のオリエン資料と打ち合わせメモです。
原稿を書く前に、次の順で整理してください。
1. 目的、ターゲット、納期、予算を5行でまとめる
2. 資料の中で不足している情報、矛盾している点を挙げる
3. 先方に送る確認事項のリストを、失礼のない丁寧な文面で作る
4. 企画の方向性を2案、それぞれ主なメッセージと必要な制作物を添えて出す
3番の「確認事項」は、日本の案件ではとくに役立ちます。最初の週に曖昧な点を潰しておくと、後半の手戻りが目に見えて減ります。Claudeは敬語のビジネスメールも自然に書けますが、送る前に必ず自分の言葉で読み直してください。
赤字をまとめて反映する
先方の確認が複数の部署を回ると、PDFへのコメント、メール、チャットと、修正指示があちこちに散らばります。すべて貼り付けて、まず指示の一覧を作らせます。
以下は原稿への修正指示です(複数の方からのものが混ざっています)。
1. 指示を一つずつ番号付きで一覧にしてください
2. 指示同士が矛盾している箇所があれば指摘してください
3. 矛盾のない指示だけを原稿に反映し、変更箇所がわかるように示してください
矛盾している指示をClaudeが勝手に判断しないようにするのがポイントです。どちらを採るかは、担当者が先方と相談して決めます。
一つの原稿を各チャネルに展開する
承認済みの記事やプレスリリースを、SNS、メルマガ、広告用に書き分けるのはClaudeの得意分野です。チャネルごとに文字数と役割を具体的に指定し、「元の原稿にない主張は足さない」と必ず書きます。
以下は承認済みのプレスリリースです。次の形に書き分けてください。
1. X:140字以内の投稿を2案。1行目だけで内容が伝わるように
2. Instagram:カルーセル6枚分の文言。1枚につき1メッセージ、各40字以内
3. メルマガ:件名を3案と、200字程度の導入文
4. LINE公式アカウント:絵文字なし、80字以内の配信文
元の原稿にない数字、効果、比較表現は加えないでください。
表記はプロジェクト内のトンマナ資料に合わせてください。
文字数の上限は、各媒体の仕様やクライアントの運用ルールに合わせて調整してください。画像やバナーは、CanvaやFigmaのコネクタを使えば既存のテンプレートと組み合わせやすくなりますが、最終の見た目はデザイナーが確認します。日本語は改行位置ひとつで印象が変わるので、ここは人の目が欠かせません。
月次レポートの下書き
各媒体の管理画面からCSVを書き出し、先月のレポートと一緒に渡します。「数字がどう変わったか」「なぜ変わった可能性があるか」「来月何を試すか」を、先方の担当者がそのまま上長に転送できる文章で書いてもらいます。先方の社内で稟議や報告に使われることを考えると、断定しすぎない書き方を指定しておくのが安全です。数字は必ず元のCSVと突き合わせてから出してください。
人が持つべきところ
私の会社でも、ルールはシンプルです。整理、下書き、書き分け、分析はClaudeに任せる。クライアントの目に触れるもの、お金が動くもの、公開されるものは、必ず人が承認する。この線を最初に決めておくと、少人数でも品質を落とさずに担当できる案件が増えます。
まずは一番時間を取られている作業を一つ選び、いちばん付き合いの長いクライアントのプロジェクトで2週間試してみてください。出力を直すたびにプロジェクトの指示を更新し、手直しが減ってきたら、同じ形を次のクライアントに広げます。